日本の性愛文学・絵画と日本の性文化が江戸時代（1615年-1868年）後期に形を変えて行った過程は、17世紀に春画が大衆へ普及した要因と同じくらいの注目に値する。

19世紀前期、湯屋や茶屋、吉原以外の江戸の地域や東海道、木曽街道沿いの街などが、より魅惑的な楽しみを提供し始めた頃、平安時代の貴族の生活を模倣し、性については曖昧にしてきた吉原は、日本の性文化の中心地としての地位を失っていた。それでも春画は性産業を描き続けたが、吉原人気の低迷にしたがって、その登場人物たちは、吉原の遊女であるとは、はっきり描かれなくなった。

19世紀になっても滑稽さは本質的に同じであったが、一般大衆が宗教や古典文学のパロディーに興味を失ってきた為、絵師達は空想文学や娯楽のような流行りものをより追い求める様になった。この時まですでに200年ちかくも春画というものは広く愛されており、19世紀の絵師達は、しばしば時に威厳を持ち、また時には風刺を含んだ春画の歴史を思い出していた。