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吉原遊郭をアメリカで表現:小田まゆみのアメリカンセックスワーカー達へのエール

小田まゆみ(1945年生)の「ストーリーヴィル」シリーズは、市政府公認でニューオーリンズに1897年から1917年まで設置されていた16ブロックにわたる売春地区を表現している。1895年から1915年にかけて発行されたこの地区の案内では、それぞれの売春宿の説明、どんなサービスを受けられるのか、また値段などが書かれており、1900年までにはストーリーヴィルは、ニューオーリンズの最も繁栄している町の一つとなった。売春以外にも、この地区はジャズの起源と関係があり、ジェリー・ロール・モートン(1890-1941)のようなジャズの先駆者たちの何人かはこの地で彼らのミュージシャン人生を始めた。

1915年頃、ジョン・アーネスト・ジョセフ・ベロック(1873-1949)は、ストーリーヴィルの何人かの売春婦の写真を取った。彼は決してその写真を出版はしなかったが、彼の死後、写真家リー・フリンドランダー(1934年生)が、ネガフィルムを買い取り、1970年にベロックの作品は近代美術館に展示された。その写真は多大なる評価を得て、そして多くの本や映画にも影響を及ぼした。

ベロックの写真を基にはしているが、小田は女性の外見を、もっと幸せに見えるよう書き直した。小田はこのように説明している:

彼女達は不幸な女性のように見える。しかしなぜか私は彼女達の写真が大好きで、これらの女性をカラーで表現したくなった。私は彼女達に「あなたたちは美しいわよ!私はあなた達を忘れない」と言いたい。

ストーリーヴィルと吉原の類似点を見落とすことは不可能であり、そして小田の作品は喜多川歌麿(1753-1806頃)と他の美人画の絵師達の作品に、その起源をみる。

左:ジョン・アーネスト・ジョセフ・ベロック(1873-1949)
  「ストーリーヴィルシリーズ」より 無題 1912年頃