桜沢エリカ(1963年生)
LOVE VIBES

1996年
(TD 2014-81-11)

「LOVE VIBES」(1996)は三人のレズビアンを描いた作品である。−ためらいながらも女性への興味を認めている麻子、友情を保つ為に麻子へのエロティックな感情を押さえているミカ、そして情熱的ではあるがミカをわがままに支配しようとする晶子。

ここでは晶子とミカがパーティーで出会い、二人が晶子の家へ行くシーンが描かれている。晶子は子供のように大事にしていた人形の話をし、ミカにその人形になって欲しいという。ミカは晶子の行動が危ないとわかってはいるが、晶子に対する性的な衝動をおさえることができない。

晶子の寝室の壁紙や、ミカのワンピースの柄のように複雑な模様を使う事により、桜沢はこのストーリーにエレガントで女性らしいセンスを吹き込んでいる。どこか欠陥のあるキャラクターにもかかわらず、我々はそれぞれの登場人物達をとても愛しく思ってしまう。

発売以降、「LOVE VIBES」は評論家と一般読者の双方からの高い評価を得て、2010年には「カケラ(英題:A Piece of Our Life)」として映画化された。