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桜沢 エリカ

身近な人に実際に起こった出来事を漫画という手法でリアルに再現する桜沢エリカ(1963年生)の作品では、登場人物へ親しみを込め、彼/彼女らの感情をストレートに表現する事により人間関係の荒れ狂う波のような現実を読者に伝えている。桜沢の描く世界は優雅で、まるで法廷スケッチの様にミニマリストなタッチを持っている。それは登場人物から打ち明けられたかのように、その人たちの人生の出来事を記録しているようである。彼女の作品の登場人物たちは、彼/彼女らが直面しているモラルというものがあまりにも曖昧なことにもがき、そしてそれを見ている我々はその登場人物たちとつながっているように感じ、押さえきれない感情移入をしてしまう。