岡崎京子(1963年生)
Pink

1989年
(TD 2014-81-18)

社会学研究者のシャロン・キンセラは、岡崎京子の作品をギャル文化(若い女の子達による現代のストリートカルチャー)を描いた振興のサブジャンルである「ギャル漫画」の一例と見ている。橋口五葉(1880-1921)の版画解説で論じたように、モダンガール(モガ)のムーブメント同様、現代のギャル文化とは、伝統的な日本の女性らしさや民族性、そして理想化された日本の女性像に対して自信満々で厚かましい性的反逆であると特徴づけられる。
(「 ブラックフェイス、魔女、そして少女達に対する人種差別」キンセラ著、144ページより)

岡崎京子の漫画「Pink」は売春を仕事としながら生活している若い二人の男女の日常を描いた漫画である。これは、主人公のユミがホテルの部屋でアマチュアSM写真家のモデルをし、その隣の部屋では彼女の継母が愛人を連れ込んでいる事を彼女は気づいていない、というシーンである。新聞やテレビなどでは一般的に、売春はよくないと言われているが、岡崎の描く簡素化された線描、登場人物の純真な表情、そして明るいセリフ回しはそんなことを全く感じさせない。

展覧会場内のiPadにて「Pink 」の第三話までが閲覧可能です。