江川達也(1961年生)
源氏物語 第三巻

2003年
(TD 2014-83-03)

日本文学史上、初の小説として脚光を浴びた「源氏物語」は紫式部(973-1014年頃)により11世紀に描かれた天皇の第二皇子である光源氏のロマンスを描いた物語である。紫式部は、エロティックな話の内容を、その優雅な文体で上手くベールに包んだので、その6世紀後には吉原の遊郭の主人達が源氏物語の世界を自分たちの遊郭のモデルとして真似るようになった。しかしながら江川の描いた漫画版の源氏物語は優雅な上辺を取り除き、男性向けエロティックファンタジーの代表作となっている。

ここに展示されているページは第三帖「空蝉」より源氏が間違って赤の他人を誘惑しているコミカルなシーンである。 友人の継母で源氏が夢中になった空蝉を求めて、源氏は彼女の閨房に忍び込み寝込みを襲おうとするが、空蝉は源氏の香りに気付き逃げてしまう。閨房に忍び込むと源氏は軒端荻しかいないことに気づくが、人違いであると気づく前に軒端荻を空蝉だと思い、起こしてしまう。

源氏は寝ている人物を見て何かが違う事に気づき、何がおこったかを予測した。なんて馬鹿な事をしたんだ!もし寝ている人物が目覚め、自分がこの馬鹿げた間違いの被害者であるとわかったら、とんでもないことだと思った。

-紫式部「源氏物語」53ページ、英訳:エドワード・サイデンステッカー

軒端荻に恥をかかせないために源氏は密かに彼女を追い求めていたと偽り、軒端荻と関係を持つ。