安野モヨコ(1971年生)
「さくらん」より原画

2001年-2003年
(L.2014-47.01)

この「さくらん」の原画には、二人の禿がどちらの花魁がより美しいかを大声で言い争っていると、中級ランクの遊女である玉菊屋のきよ葉が突然禿の一人の髪の毛をつかみ静かにさせている吉原遊郭でのシーンが描かれている。「さくらん」は、きよ葉の禿としての最初の日から、吉原で最も有名な花魁としての名声を得るまでを描いた作品である。

伝統的な漫画のように、右上から左下へとストーリーは進み、その構図には安野の、まるで映画を見ているように感じさせる抜群のセンスの良さが現れている。誰もいない廊下に子供達の言い合いをする声だけが聞こえる。禿自身が姿を現し、そしてページを下へたどっていくと、おびえた女の子の目線から、きよ葉の姿が浮かび上がってくる。