竹宮ジン
「想いの欠片」

2011年
(TD 2014-81-16)

「想いの欠片」はレズビアンの高校生ミカと彼女の出会った様々な人々ー 性的嗜好に悩む主婦、ミカが短い逢瀬を楽しんだバイセクシャルの大学生吉原、そしてミカの精神的な支えとなりアドバイスをあたえる年配の女性などー との日常を描いた作品である。桜沢エリカ(1963年生)の作品同様、竹宮は、登場人物達が愛を求め、そして社会で受け入れられようと模索している姿を静かに、そして品よく描いている。

このシーンでは、ミカの家庭教師である吉原が彼女自身の勉強に疲れてしまいミカのソファーで短い昼寝をしてもいいかと聞いている。ミカは快諾するが、彼女が寝ている間にこっそりとキスをした。 構図を縦長の狭いコマ割りにし、まるでミカがゆっくりと跪きキスをするように、見る者を登場人物により近く引きつけ、竹宮はこのシーンにドラマティックな緊張感を吹き込んでいる。吉原へ惹かれている気持ちを、そして吉原が何がおこったのかを気づくことを恐れ、ミカは急いで逃げていった。