江戸時代(1615-1868)に活躍したほとんどの芸術家が男だったため、春画と、それ以外の芸術作品は典型的に男性中心に性を描いていた。女性同士の性的ふれあいの画は非常に珍しく、「貝合わせ」のようにレズビアンを描写するための言葉は嘲笑的なユーモアによって表現された。
しかしながら20世紀の間に、日本のエロティックアートの制作者とその購買者の割合は劇的に変化した。最初の少女マンガが現れたのが1903年である。そこで描かれたものは軽いテーマのみに限られたため、少女マンガは最初の半世紀のみわずかに人気があっただけであった。1969年から1971年の間、大人のドラマティックなテーマを扱い、読者も情熱的に応える女性漫画が作られた事により、女性アーティストの台頭が革命をもたらした。女性間の親密な関係に焦点を当てた女性漫画は、二つのジャンルに分かれる。一つはプラトニックな愛を描いた少女漫画、もう一つは性的表現も含んだロマンスを描いた百合漫画である。
山岸涼子(1947年生)の「白い部屋の二人」(1971)は、レズビアンの主題を扱うために商業的に出版された初めての本であるといわれている。山岸は、もともとこの話を男性の同性愛について書きたかったと語っている。彼女の出版社はテーマが物議をかもすとして抗議をしたが山岸は主人公の性別を変え、二人を女性に変えることにより、出版社をなだめた。それ以降、「国際百合コン」のような公のイベントに加え、「百合姉妹」(2003-2004)、「百合物語」(2005-現在まで)、そして「コミック百合姫」(2005-現在まで)のような定期刊行物に後押しされ、百合漫画はかなりの人気を得ている。