作者不詳
春画柄の着物を着た美女

1930年頃
(L40461)

鳥居言人(1900-1976、五代目鳥居清忠もしくは鳥居家八代目当主)の作風とよく似ている女性の肖像画は、一見何の差し障りもなく見えるが、実はよく見てみると彼女が身につけている着物の柄には1790年代の喜多川歌麿(1753-1806)風の春本の模様が書いてある事がわかる。

20世紀初頭までに、幕府による露骨な性的表現をした画像の出版禁止や、人々の芸術の嗜好がかわった事などにより、江戸時代(1614-1868)に生産された春画は、その時代を懐かしむ只の飾り物にすぎないと、みられるようになった。