性の革命
鎖国の後、国際貿易のために港を解放した19世紀後半の日本では、指導者や市民は、はかりしれない自己喪失の恐怖に襲われた。新たに登場した西洋社会の価値や野心をどの程度まで取り入れるべきか、また西洋文化の独自性に対して日本人としての誇りをどの程度まで保つべきか?アメリカ人やヨーロッパ人の尊敬を得ようとした多くの人々は、過去300年に日本人絵師によって描かれた明らかに性的なものを描いた木版画や版本などの春画は、恥ずかしいほど時代遅れの性的快楽主義を表現していると感じた。当時は人気のジャンルであった春画の制作は、20世紀初頭には劇的に減少し、1990年代には春画の複製も厳しく検閲されるようになった。
それと同時に20世紀前半は、政府役人が国家のイメージを良くしようと努力したにもかかわらず、日本美術における「性」とは、表現方法を変えていきながら依然として人気のテーマであった。
「モダンラブ:20世紀日本のエロティックアート展」は伝統的な春画に触発された日本の近代、現代美術を探求しています。この展覧会では、木版画家、橋口五葉(1880−1921)のスケッチ、荒木経惟(1940年生)と米原康正(1959年生)の写真、安野モヨコ(1971年生)の漫画や、ハワイで活躍している日本人アーティスト、寺岡政美(1936年生)や小田まゆみ(1941年生)の作品などを展示しています。
「モダンラブ:20世紀日本のエロティックアート展」は、ホノルル美術館による日本の性文化に焦点を当てた展覧会であり、三回シリーズのうちの今回は最終回となります。17世紀と18世紀の作品に焦点をあてた2012年の「閨房の芸術:日本の春画展」、そして 2013年の「笑い絵:19世紀日本の春画展」から続いているシリーズです。
この展覧会にご参加いただいたアーティストの方々に加え、Catharine Cark Gallery、株式会社コルク、Fanfare/Potent Mon、株式会社白泉社、株式会社オークラ出版、有限会社オフィス・サマサマ、株式会社青林工藝社、株式会社シュークリーム、株式会社集英社、Vertical, Inc. 、VIZ Media, LLC、一色事務所、ロバート・F・ランジ財団の皆様には、ひとかたならぬご協力を頂きました。ホノルル美術館はこの場をお借りして感謝の意を表します。