春画にみる社会問題:女性による春画の楽しみ方
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春画に関しての一般的な誤解は、春画とは男性のためだけに作られたと思われている事である。現代の日本の春画研究では、驚く程多くの作品が女性読者の為に作られたという事に注目している。

役者絵のような普通の木版画を見ながら性的な態度を取る女性を描いた春画を見ると、最もいやらしい絵とは、実は直接的に性を描いたものではない、ということに気づく。春画によく描かれた、きちんと着物を着た遊女の絵や版画が多くの男性の自慰行為に使われたように、歌舞伎役者の似顔絵も同様な理由で使われた。皮肉にもこの美術館のような公共の場所で普通に展示されている春画ではない日本美術の作品(美人画や役者絵など)が200年前には、人々を興奮させ、日本人に最も情熱的な反応をおこすものであった。