超自然現象を描いた春画:夜な夜な聞こえる不思議な音の正体
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日本の芸術家達が春画人気を再び活気づけた手段の一つは、作品に物語的な起承転結をつけ、もっと面白くする努力をしたことであった。1776年、鳥山石燕(1712年-1788年)は、中国の王圻や王思義(16世紀後期から17世紀初頭頃に活躍)の『三才図絵』(1607年)など中国で既に発表された作品に影響を受けて、妖怪や化け物など、超自然的な生き物を描いた動物寓話集である『画図百鬼夜行』を発表した。

奇抜な挿絵、自由な発想、似非科学的な雰囲気とアジアの神話に文学的根源を持つ『画図百鬼夜行』は、驚く程の商業的成功を収めただけでなく、歌川国芳(1797年-1861年)や同世代の絵師達の画風に多くの影響を及ぼした。その後、10年間に亘り石燕は『画図百鬼夜行』の続編を発表し、19世紀には竹原春泉斎(19世紀初期頃に活躍)が天狗やろくろ首、男性を惹き付ける為に美しい女性に姿を変えた狐の世界などを探求し続けた。春画の絵師達は言うまでもなく、それらの創造物は新しい題材として春画に使えると感じていた。